2004年11月29日 (月) 赤い座布団。
彼と仲良くなったのはなぜだったんだろう。
はじめは、挨拶もなく勝手にそのマンションに足を踏み入れた私のことを言い訳も許さず怒ったのが彼だった。
私はいい訳大魔人の本領を発揮してひたすら謝った。
すみませんと。
あーそうだ。どの部屋の住人を訪れるのか言っていけと言われたから、もう本当嫌な感じを前面に出してわざわざ何号室の何さんと、何号室の何さんと。。。とくどいぐらい説明してからマンションに入るようになって、そんな二回目に感じよく話せたところから少しずつ仲良くなったんだった。
本当だったら家族で、もしくは夫婦で行うに違いない業務を一人でこなし、地元から遠くはなれ、東京でひとり原付を相棒に生きていることまで知ってしまったりもしたんだった。
80件のお客さんの家をまわらなければならない日の、ラスト五件で、彼に会うと急に終わりが見えた気がして嬉しくなるそんなとても一日の楽しい時間に会える人。
もう来れなくなるから、サービスで浄水器使って!と言って台所にとりつけさせてもらったら、その日特売で買ってきたという食パン3斤のうちひとつをわけてもらったりもした。
なんだかんだ言ってよい出会いだった。
そんな彼にもらったまっかな座布団が今うちにある。
還暦祝いの真っ赤な座布団。
つい断りそびれてもらってしまったこの座布団をつい重宝しているなんてきっと彼は知らないと思う。
真っ赤というより朱色の座布団。
この冬の相棒。
もう少ししたら、新しくなった仕事になれて時間ができたら、今度はおいしいミネラル水を作る浄水器をもって訪れてみようっと。勝手な計画。